友の会について

日本脳外傷友の会の活動について
日本脳外傷友の会第4回総会アピール

日本脳外傷友の会の活動について

会長 東川悦子


 救命救急医療の進歩により、20年前には助からなかった方々が、助けていただけるようになりました。私共の息子や、娘たちもそうして、助けていただきました。
 ところが、彼らは受傷前の彼らのようには見えても、どこか違っている彼らとして、私たちの前に帰ってきています。
 重大な損傷を受けたのですから、当然といえば、それまでですが、さまざまな、後遺障害によって、日常生活にも困難をきたしているものが多いのです。

 そんな状況に悩む当事者と家族が、1997年4月名古屋に於いて初めて「脳外傷友の会・みずほ」を結成しました。半年後神奈川で「脳外傷友の会・ナナ」が結成されました。1999年に札幌に「脳外傷友の会・コロポックル」が結成され、同年、この3つの会が、脳損傷医療の先進国アメリカを視察に行きました。
 そこで驚いた事に、国が「脳外傷法」を制定し、膨大な予算を組んで、早期退院、早期リハビリテーション、社会復帰への支援をしている事。受傷者のみならず、その家族に対しても支援が行われていること、当事者や家族の会の活動基金や組織が確立している事を知りました。

 既に「国際脳損傷協会」が設立され、世界大会も開かれているということでした。
 翌2000年の4月、私たちも力をあわせ、情報を交換し、行政交渉を行い、さまざまな現在の不利益な状況を改善する為に連合組織を結成しました。

 「日本脳外傷友の会」の誕生です。私が初代の会長に就任し、今日にいたっています。NHKの「クローズアップ現代」や中京テレビなどの番組でも、わかりにくい障害の問題として紹介されました。
 各地で友の会が結成され、現在では全国で14の友の会ができ、その支部、準会員団体を入れると30の会が独自に活動をしています。
 北海道から、九州までのネットワークが拡大しました。(会員数約1700人 2004年7月現在)

 これまでにも、「日本脳外傷友の会」をはじめとする同様団体は、積極的な行政交渉をおこないました。
 「自賠責保険」の運営が行政改革のあおりで民間保険会社に移管されるという事態に至った時に、遷延性意識障害の患者を抱える会とともに結束して、反対の陳情を国土交通省にし、介護料の増額、高次脳機能障害の認定等級を引き上げる見直しなど、大きな変革をなしとげることができました。

 私が会長を務めた神奈川の『脳外傷友の会・ナナ』は、結成後間もない時期に、直接厚生労働省に陳情に出かけました。一介のおばさんに過ぎない私が、天下の霞ヶ関に何の手がかりもないのに乗り込むのは、今考えればかなり勇気のいることであったかもしれません。

 しかし、交通戦争といわれ、年間100万人以上の人が事故に遭い、毎年1万人もの死者が出ていたというのに、後遺症者対策がほとんど考えられていないという現実の不合理さに義憤を感じていました。せめて実態を調査して欲しいということは、納税者として当然のことと思いました。
 このとき会ってくれた担当課長補佐が、現在実施されている『高次脳機能障害支援モデル事業』を立案し、予算獲得に尽力してくれました。勿論、その間に国会議員への働きかけや、大臣陳情を行ったのです。
 「高次脳機能障害支援モデル事業」の実施されている全国12の拠点地域は患者、家族会の設立されているところです。そのうちの10箇所が「脳外傷友の会」のある地域です。

 高次脳機能障害とはという、行政上の定義がさだまり、診断基準が医療、福祉行政に周知される事になりました。
 昨年は労災における高次脳機能障害の認定が、十数年ぶりに改定されています。
 谷間にあった障害に光が当たり始めたといえるでしょう。

 今年は、地域でどのように支援したらよいのかというモデル事業が2年間の予定で開始されています。当事者団体として、各拠点地域でのモデル事業連絡調整委員会には参加してきましたが、全国の情報交換の場である会合には、委員として参加できませんでした。
 私どもは当事者としての要望や意見を申し上げ施策に反映させていただきたいと申し入れをしてきましたが、今般漸く希望がかなえられ感謝しております。この機会を有効に活かしたいと思います。

 国の財政状態が窮乏し、始まったばかりの支援費制度が、介護保険制度に統合される動きが報じられています。又年金を初め社会保障政策全体の見直しが始まっています。
 先行き不安な中、漸く当たり始めた光も消される事になっては、大変です。

 新たなモデル事業が、2年後の一般施策化にどのような指針を示す事業となるか、当事者団体として要望を出し注目して行きたいと考えています。
 去る6月30日静岡市に於いて「日本脳外傷友の会第4回総会」を行いましたがその際以下のアピールを採択いたしました


日本脳外傷友の会第4回総会アピール

 支援費制度を介護保険制度に統合する厚生労働省案の骨格が明らかになりました。
 現在私たち日本脳外傷友の会の当事者は、障害種別に基づいた縦割りの障害者福祉施策において、適切なサービスを受けられずにおりますが、介護保険制度との統合に際しては、適切な要介護認定基準の導入や、家族の介護が困難になった時に安心できる在宅・施設サービスの整備を求めます。
 又、高次脳機能障害支援モデル事業(以下モデル事業)の結果を反映させた障害者福祉施策の実現を要望します。

1) 高次脳機能障害者の生活障害が新しい介護保険制度の要介護認定に反映されること。
 高次脳機能障害は「目に見えない障害」であり、支援ニーズは50%以上が金銭管理や外出、買い物などの生活面、通院・服薬などの健康管理面、悩みなどの相談要望などで、身体的ニーズは比較的少ないのが特徴です。モデル事業の集積データを要介護認定の検討に反映させていただきたい。

2) 障害者福祉施策として、高次脳機能障害支援センターを開設し、支援コーデイネーター等の専門家を配置するとともに、必要な障害者福祉サービスが利用できるようになること。
 高次脳機能障害者には3年間のモデル事業の最終報告に示されたように、多様な支援機関のかかわりや調整・情報提供サービスが必要です。
 全国に高次脳機能障害支援センターを設置し、必要な数のコーデイネーターなどの専門家を配置して、当事者団体と連携した支援事業を実施していただきたい。
 又、モデル事業に於いては、障害者手帳の未取得者への施設サービス利用が試行的に実施されています。今後は高次脳機能障害者の社会参加の推進と生活の安定のために、
 高次脳機能障害の診断書に基づき個々人のニーズに適した在宅サービスや施設サービスが可能になるようにしていただきたい。

3) モデル事業3ヵ年の成果を全国に普及させること。
 モデル事業参加自治体とその他の自治体間の格差が拡大しています。各地域に高次脳機能障害者の治療・診断や訓練・支援プログラムを実施できる専門家が配置されるように、充実したカリキュラムによる専門家養成を実施していただきたい。
 日本脳外傷友の会はモデル事業後の施策が真に当事者が望むものとなる事を求め、支援施策の実現を目指して粘り強く活動を続けていく事を誓うとともに、多くの方々が広く活動の輪に加わってくださるよう呼びかけます。

   以上     2004年6月30日 日本脳外傷友の会会員一同


 又、各地拠点地域で行われているモデル事業について、情報を速やかに開示していただきたいと要望いたします。この大会会場で、会員にインターネットの使用状況を聞いたところ、約半数の手があがりました。
 情報が急速に流れる時代なのです。どのような事業が行われているのか、ぜひ、拠点施設のホームページで公開していただけるよう切望いたします。
 特に、国立身体障害者リハビリテーションセンターは事業の実施主体ですから、速やかに、公開し、最新の情報が全国の関係者に知られるようにしていただきたいと要望いたします。
 又、各地障害者職業センターとの連携を強化し、当事者の社会復帰、社会参加の実現が確かな継続した支援体制の強化が図られる事業展開となるよう期待しています。